教育時事として、よく出題される『いじめ問題』。今回は『いじめ防止等のための基本的な方針について』をとり上げました。
いじめの防止等のための基本的な方針とは
『いじめの防止等のための基本的な方針』は、平成25年10月11日(最終改訂平成29年3月14日)に、文科省決定として示されたものです。
冒頭には、このように記載されています。
「いじめは,いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず,その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。本基本的な方針(以下「国の基本方針」という。)は,児童生徒の尊厳を保持する目的の下、国,地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題の克服に向けて取り組むよう、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第11条第1項の規定に基づき、文部科学大臣は、いじめの防止等(いじめの防止,いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するために策定するものである」
文科省:『いじめの防止等のための基本的な方針』平成25年10月11日(最終改訂平成29年3月14日)より一部抜粋
政府は、いじめについてどのような方針を立てているかが示されたもの、ということですね。
いじめ防止対策推進法
さて、この基本方針の中で、とくに重要なところはどこでしょうか。
まず、確認しておきたいことは『いじめの定義』です。これは法規とも関連しますね。この定義は確実に覚えておきましょう。
いじめ防止対策推進法
(定義)
第2条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは,学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
ここで大切なことは、『いじめ』の行為が、『いじめ』に当たるどうかという判断は、表面的・形式的にしないということです。
いじめを受けている児童生徒が、「いじめられていない」ということがあるという点も理解しておかなければなりません。
いじめの防止等のための基本的な方針で大切なこと
『いじめ防止対策推進法』でのいじめの定義をもとに、いじめ防止のために、どのような方針で取り組んでいくのかを示したものの中で、特に重要なところは、次の点と考えています。
赤字で記した語句に注意して読むことをおすすめします。
いじめの防止等に関する基本的考え方
(1)いじめの防止
いじめは、どの子供にも、どの学校でも起こりうることを踏まえ、より根本的ないじめの問題克服のためには、全ての児童生徒を対象としたいじめの未然防止の観点が重要であり、全ての児童生徒を、いじめに向かわせることなく、心の通う対人関係を構築できる社会性のある大人へと育み、いじめを生まない土壌をつくるために、関係者が一体となった継続的な取組が必要である。このため、学校の教育活動全体を通じ、全ての児童生徒に「いじめは決して許されない」ことの理解を促し、児童生徒の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度など、心の通う人間関係を構築する能力の素地を養うことが必要である。また、いじめの背景にあるストレス等の要因に着目し、その改善を図り、ストレスに適切に対処できる力を育む観点が必要である。加えて、全ての児童生徒が安心でき、自己有用感や充実感を感じられる学校生活づくりも未然防止の観点から重要である。
また、これらに加え、あわせて、いじめの問題への取組の重要性について国民全体に認識を広め、地域、家庭と一体となって取組を推進するための普及啓発が必要である。
文科省:『いじめの防止等のための基本的な方針』平成25年10月11日(最終改訂平成29年3月14日)より一部抜粋
まとめ
『いじめの防止等のための 基本的な方針』は、『いじめ防止対策推進法』とあわせて覚えておきたい教育時事のひとつです。
いじめに関しては、出題されることが多いので、『いじめ防止対策推進法』とともに、ノートをまとめることをおすすめします。
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